勝藤研究室
Katsufuji Lab.       早稲田大学 先進理工学 物理学科width="100%"

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 Co1-xFexV2O4におけるヤーン・テラー効果とスピン軌道結合

遷移金属の縮退したd軌道に由来する軌道自由度は多様な物性を生み出し、スピン自由度との結合によってさらに多彩な現象を引き起こす。スピネル型バナジウム酸化物AV2O4では、V3+ (3d 2)のt 2g軌道に軌道自由度があり、A=Zn, Mn, Feの場合には軌道秩序とともに正方晶歪みが現れる。特にFeV2O4では、Vの軌道秩序とフェリ磁性に加え、AサイトのFe2+ (3d 6)がeg軌道の縮退に由来するヤーン・テラー歪みを起こし、温度低下に伴い立方晶から正方晶、斜方晶、再び正方晶へと逐次的な構造相転移を示す。一方、CoV2O4ではVの電子が遍歴的であるため軌道秩序は現れず、代わりに磁歪が支配的で、その歪みの大きさはFeV2O4より小さい。
 本研究では、Co1-xFexV2O4系の詳細な歪測定と磁化測定により、その相図を再構築した。その結果、Co側の小さな磁歪状態とFe側のヤーン・テラー歪みによる構造相転移が、組成xの変化に伴い連続的につながることを明らかにした。相図上の広い範囲で、構造転移温度TSとフェリ磁性転移温度TNが一致する一方、歪みの大きさはxに応じて2桁変化することが分かった。
 この実験結果は、Fe2+eg軌道におけるヤーン・テラー効果とスピンの向きがスピン軌道相互作用を通じて結合するモデルに基づくランダウ理論の計算により、よく再現することができる。このことは、本系ではヤーン・テラー効果とスピン軌道相互作用の組み合わせに由来する、新しいタイプのスピン・軌道・格子の相関が実現していることを示すものである。





図1 左上:Co1-xFexV2O4の結晶構造 右上:スピネル構造AサイトのFe2+ (3d6)の電子状態とヤーン・テラー歪  
左下:Co1-xFexV2O4の相図 右下:Co1-xFexV2O4における正方晶歪の大きさ(丸は実験値、点線は計算値)



M. Nakano, T. Kobayashi, and T. Katsufuji,

“Coupling between Orbital and Spin Degrees of Freedom in Jahn-Teller Ions for Co1−x⁢Fex⁢V2⁢O4”,

Phys. Rev. Lett. 135, 186701 (2025).

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